国立新美術館開館記念 アムステルダム国立美術館所蔵 フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展@国立新美術館

 急遽台風発生+接近にも関わらず六本木にある国立新美術館フェルメールを見に行く。結構な雨降りで自宅から駅までがだるかったが、乃木坂の駅へつくと仰天。ほ〜、駅から直通ですか。ただまあ駅出口から館入り口までは細い屋根つきの通路で土砂降りでしたが。チケット売り場の屋根も狭い上に濡れまいとするおばちゃんが割り込みだし。
 そんなこんなで展示場へ踏み入れると、黒山の人である。まさに黒山。美術館らしい開放感のある広い空間にこれだけの数の人を観るのはフジロック以来か。
 何はともあれ絵画鑑賞と思いきや、まあ人いっぱいで余り見えん。ってこで余り人がいない絵から観ていく。展示内容が、オランダ風俗画黄金期(17世紀)→フェルメール「牛乳を注ぐ女」→工芸、楽器→18〜19世紀と言う具合で進行。が、しょっぱなから人がすごいのでずんずん進んで見ることに。と思いきや、以外にも「牛乳を注ぐ女」の前が空いていたのでしばし観賞。個人的には「青いターバンの少女」?とか楽器が入ってる絵を観たかったが。さすがにきれいな絵でした。牛乳を注ぐ行為に集中している「瞬間」という感じが。某漫画で「写真的な視点」という話を聞きかじったが、確かに、ピタッとその瞬間を収めた感がある。女の集中した表情と牛乳の注がれ具合なんかがそうさせるのかなと。まあ、「写真的な視点」ってそういうことじゃないのだが。学が無いのでそんなもんくらいしか感想は無し。彼女さん曰く「高い絵具を使ってるだけあってきれいだねぇ」。……うむ。
 あとは絵具の原料が再結晶でもしているのか、金属光沢的な光の反射で絵がキラキラしていた。
 フェルメル辺りがさすがに混んできたので一つ前に戻って黄金期の版画辺りを。「オウムに餌をやる女、バックギャモンをする二人の男と他の人物たち」をとくとくと観る。展覧会のHPの解説によると、これには日常の風俗を単に描いただけでなく、そこには道徳的な教訓が含まれているらしい。露知らずその時は眺めていたが、後に見る近代ごろの風俗画と比べると色調が暗いということを今思い出した。この暗さが、陰惨な暗さではなく、題材と相まって何処か卑しさというか、裏に潜む軽微な後ろめたさというような、わかりづらいが、そんな感じ。
 次に楽器を観る。フェルメールと工芸/音楽。中世の絵画に貧乏人やら盲目の楽士と共に良く登場する手回し琴が中央に鎮座し目を引いた。実際見ると簡単そう。音は聴いたことが無いけど、どうやらバグパイプやらアコーディオンやらそんな感じの音らしい。シンセっぽいという話も。共振弦がついていたので「ビィ〜〜ヨヨヨ〜ン」みたいな感じなのかなと推測。弾いてみたい。
 後はヴィオラバロックギターっぽいのがあったり、鍵盤があったりと。
 楽器スペースの次は17世紀後半〜18世紀の版画。まず目を引いたのが、「襞を伸ばす女」??かな、タイトル忘れ。死をイメージさせる髑髏が若干不自然に配されていた。後は、「羽目を外す農夫(??タイトル忘れ)」もなかなか。部屋の梁の部分に、尻をこちらに向けて四つ這いになっている女とその傍らに立つ男の絵がかけられていたり、女の胸に手を突っ込もうとする農夫の姿は実に面白かった。「どこどこの農婦」という題のやつも幾つかあり、農婦がおしゃれ着なのか普段着なのか、とにかくその土地土地の農婦が描かれていた。アレはその地方の服装に着目しているのか、あるいはファッション雑誌の「街角オシャレチェック」みたいなものなのか。
 そして19世紀。絵が明るい。どうやらルネサンス辺りの影響と黄金期の風俗画の復古が相まったものらしい。なんとなくプードルが多く描かれていた印象が残ってるけど、まあそれほどでもないんだろう。プードルのトリミングについて彼女さんと茶化していたからか。

参考:
中世楽器。
「書棚の片隅から」のブログ記事一覧(2ページ目)-時空を超えて Beyond Time and Space
中世の食事事情について。スプーンを帽子にさす関連。
http://www.k-moto.net/book32/archives/2006/07/post_277.html