半読了『ツァラトストラかく語りき』(上)

ツァラトストラかく語りき』

(出)新潮社《文庫》
(著)ニーチェ (訳)竹山 道雄
AISN:410203501X
電車本

 日本語が読みづらい。というより漢字が常用じゃないので読めないものが……と、最初は嘆いていたが、読み進めるうち徐々に何とかなるようにはなった。いまだわからん漢字も多いけど……。とりあえず上巻だけは実家にて2007年12/31に読了。

大まかな流れはこんな感じ。

 ツァラトストラは「神は死んだ」と悟り、人の「超人」への進化という思想を得、その思想を広める為に山を降り街へと向う。宗教的厭世(ペシミズム)を否定しこれを大衆に説くが受け入れられず、それではと、個別に説教し弟子たち友人たちを作り、そして大衆への浸透をはかった。
 ツァラトストラは、大方思想が広まったので山に篭り、自分の言説が行き渡り、熟するのを待ちそしてまた新たな思想を得た。そして再び街に降り弟子たちや哲学者、大衆との対話を通してこれを広める。そのさなか、ツァラトストラは「永劫回帰」の霊感を内に感じ、これを広めるに足る様に自分を熟す為、三度山へと帰る。
 第1部では主に宗教への批判と新しい思想について書かれていた。多分、大衆に迎合するな、互いに切磋琢磨せよ、マイノリティであれ、現行の権力、為政者を疑え、というようなことが書いてあったような気がする。超人への道として、
驢馬:強靭な受動性、忍耐

獅子:既存の束縛からの解放

小兒(小児):忘却と発端、創造
がある。

・新しき偶像

猿どもはすべて王座へと目ざしてゆく。之かれらの瘋癲である。――かれらは王座の上に幸福があると思っている!しかし、王座の上にはしばしば泥が載っている。――また、王座もしばしば泥の上に載っている。

-p92

・市場の蠅
・友〜創造者の道
この辺りの章は面白い。

 第2部では主に権力への意志を説いているらしい。地上、大地、生命、情熱の賛美、歴史や形而上学的な哲学、また形骸化したアカデミズムへの批判。

 全体として、やはりイメージしていた若気の思想という印象を持った。自己へはもとより他者へも求める厳しいさ。