無題

彼は唐突に嵐の渦中にいる。
嵐は世界との接続を絶つ。
彼には嵐の原因がわからない。
周囲の人間にもその嵐が何なのかわからない。
彼らは便宜的に彼によって引き起こされたのだと判断する。
彼にはただ、周囲が嵐によって遮られているというようにしか感じられない。
しかし同時にその中心は心地よい。彼にとって。
嵐は彼がひきおこしている。
しかし彼はその事に気づいていない。