読了間近

『暗闇のスキャナー』

 ようやく読み終わりそう。ってか本編は終了。今訳者あとがきで、なかなか面白い。ディック作品の傾向で、表面上の世界と裏システムの現実というのがあり大概は超越的な何か、例えば宇宙の構造だとか時空の結節点がどうだだとかで、SF的なアイテムが鍵となり主人公は真の現実を認識し、世界がそちら側にずれ込んで様々な影響を及ぼしていく感じですが、本作ではそれが現実的な組織であり、さらに自身で道を選択することも可能で、SF的なアイテムによっても一切扉は開かれない。ドナが言うトニー・アムステルダムの話もしかり。麻薬による幻覚作用。そして読者が逃避できる世界というものが無い云々。