ポップ・アート 1960's→2000's from Misumi Collection@八王子市夢美術館

ポップ・アート 1960's-2000's@浮世絵にみる江戸美人のよそおい | 展覧会 | 八王子市夢美術館

休日一人にしてはだいぶ早起きである8時に起床。しかしだらだらとして9時半ほどに出発。10時半に到着。駅から結構歩いた。
2階に上がり美術館入り口にいきなりヴィック・ムニーズの《オランピア(チョコレートの絵画)》(2000年)があるのには驚いた。思わず二度見。彼女さんがどこかでもらってきた招待券で入場。場所柄なのか時間が早いからなのか、日曜日なのに展示室には人がまばら……というか入ったときには客が一人。あとは警備員と学芸員しかいなかった。
 順路に従うと、大体時代順。
・リクテンシュタイン、ウォーホル
・ルッシュ、サーレ、バスキア、ダイン、ローゼンクイスト
・ムニーズ、グレッグ・ボギン、リーヴス、ピーター・ハリー、ビヴィラクア、バルデッサリ
・クルードソン、ラシャペル
・カポス、パメラ・フレイザーアベル、ウタ・バース
大体こんな感じ。
やはり生は良い。なにより大きいからね。しかしまあ、ウェッセルマンとかオルデンバーグがやはりないのはミスミ・コレクションだからか。内容は当然昨年夏(2006.7〜9)東郷青児美術館でやったのとほぼ一緒。ただ、興味を持ち始めて本なんかをぼちぼち読み始めたから以前観たものでも楽しめた。僕にとっては復習的な展覧会である。
まずはリクテンシュタイン。やはり《雄牛Ⅰ〜Ⅲ》が楽しい。この抽象化の過程はわかりやすくてよい。《ブラッシュストローク》が観られなかったのは残念。
ローゼンクイストの《フラミンゴ・カプセル》(1973年)なんかは前回見た記憶がないので、何と言うか実質初対面。思っていたより大きいです。そしていまだに何がフラミンゴ・カプセルなのか良くわからない。《愛のために》(1965年)もあり、魚とパイプ、赤ん坊の手?などがコラージュされていた。うむ。
バスキアがあったのには少々驚いた。題は失念。黒い下地、中央に王冠、左右に腕が描かれ、文字がなにやら書かれていたが、これも忘れた……。
ヴィック・ムニーズの《化石(土壌の絵画)》(1998年)をとくと眺める。この人のよさが最近わかるようになってきた。というか、コラージュの面白さが。今回特に《ひまわり(ゴッホ風 - after Van Gogh)》(2002年)が印象深かった。なによりその大きさとタイトル。ゴッホ以後、ひまわりを描くことについての提言というか。
ビヴィラクアは前回観た《ブーバイ》(2001年)ともう一点あった。バンドのロゴやトレード・マーク的なものがポップな色彩の風景の中にちりばめられていて面白い。今回あった絵には「ラモーンズ」と反転したカタカナが。そして「サウスパーク」内の人気番組「フィリップ&テレンス」の二人が!そして塀の下に咲いている画一的な花々はなんとなくウォーホルの《花》を連想させる。他にギボンの恐らくたまごっちをモチーフにしたピンク色の作品が面白かったですな。
今回もクルードソンありました。二点も。《無題(燃える家)》と《無題(窓辺の少女達)》。少女の方、なにやらラストサマーやスクリームを連想させる青春ホラー的な作品。薄暗いトワイライト・タイムに、芝生と泥にまみれた少女が窓辺に立ち外を眺める。窓辺のプランターには植物が並び、そしてそこへ群がる昆虫。大きな蛾。少女の後ろには懐中電灯を灯す少年。ぞくぞくする。
今回初めて知ったのが、ウタ・バースという人の作品。ベルリン出身のアーティスト。全体にぼやけた写真を使い、人物はちょっとしか写っていない。というか、特に何もないところを中心に写している。

「私の作品の重要なテーマは鑑賞する人に、何かを見る行為をどのように意識させるかです」

とにかく見るという行為を求めている作品とのことらしい。実際に観ていると、ぼやけた背景の中に何かが写っていたり、部分しか写っていない人物のその部分について考えたり。なんというか、日常、絶えず僕らの目には光という形で情報が入ってくるわけで、その情報をすべて意識しているわけではないし、また一時的には認識可能な最小単位までの情報を細かく処理してはいても、記憶する過程でそれは削除されたり置き換えられたりと、抽象化や一般化が進み適当な容量でもって記憶される。この人の作品には、何気ない日常の、その失われた取るに足らない情報たちが詰め込まれているから面白いのかなと感じた。
チラシやチケットはマリーナ・カポスの《ロニー》。そしてやたらマリーナ・カポスを押してるなと思ったら、どうやら本人の講演会があったらしい。この人の絵は人物より風景の方が好きだ。なぜなら人物がすべてキアヌ・リーヴスに見えるから。

帰り際にざっと図録を眺めたが、前回の図録とほぼ一緒だったので買うのは控えた。