『われら』読了。

われら (岩波文庫)

われら (岩波文庫)

2/5に読み始め、2/13帰りの電車で読了。

1920年代のソ連ディストピア小説1921年に脱稿して、1924年に英語版が出版。『1984(1949)』や『すばらしい新世界(1927)』よりも前である。果たしてオーウェルやハックスリーがこの小説を読んだのかどうかはわからないが、如実に既視感が。そして多分『イーオンフラックス』は「緑の壁」の設定を(成立の経緯は異なれど)受けているのだろう。日記という体裁で綴られる話は、『1984』のウィンストン・スミスの日記を書く行為に受け継がれ、ってか登場人物の配し方なんかも共通項が多い気がする。そんな『1984』との共通点と、お国柄ということもありどうしてもソ連共産主義批判という方へいくのだが、どちらかというと正統的な「SF」という感がある。人口統制を科学技術によって行っている部分などは「新世界」に通ずるところがあるし、基本が「科学によって発展した世界」だしね。主人公はザミャーチン本人と同じく造船技師でありその視点を通しているというところもそれを感じさせる。
いやはや、之は良い古典?だ。