フラレた。

頭の中に音楽が鳴り響く。主に愛とか切なさとか幸福とかそういうテーマの音楽。
最近まで、音楽には力なんてないとか考えてたけど、結局頼っている自分がいる。音楽は感情を動かすものだ。満ちたりない全ての人達の為にある。

物、出来事、想い出に対する感情が一変する時がある。例えば、彼女にもらった腕時計は別れた後では少し重い。ベッドで抱きかかえた想い出はもの凄く切ない。だからと言って物や想い出の本質が変化したわけじゃない。変わったのは主観の位置とその視点だ。

今まで輝いて見えた物が急に輝きを失う。愛憎に駆られてそういう物を失うのは不幸だ。
僕は最近「芸術」というものが好きになってきていた。これからその興味を失ってしまうかもしれないのが恐い。そこで興味を失うものは、やはりその程度のものだったのだろう、と言うことになってしまう。育ち始めた芽を摘んでしまうのはもったいないことだ。人生には数多くの芽が生まれ出てくる。せっかく出た芽を一時の愛憎で摘んでしまうのは罪じゃないだろうか。誰に対してか?それは僕自身に対してでもあるし、彼女に対してでもあるし、その輝いている何かに同じように輝きを感じるほかの人々に対しても、そしてその輝いている対象自体に対してもだ。僕の状況が変わったからといってその対象の本質に何らかの変化があるわけではない。もしかしたら世界は絶対的に存在しているのかもしれない。