人間失格

人間失格

(出)岩波文庫
(著)太宰治

いつ買ったかは覚えていないが、昨晩(10/22就寝前)読了。たぶんブックオフで100円。

・グッド・バイ
・如是我聞

の3作品収録。いづれも晩年の作品。グッド・バイは絶筆。

人間失格

 第一の手記でいきなり写真に写った人物の話をし始めたので、読み始めたときは良くわからなかった。太宰が自身の写真を見て言っているのかと思った位。第二の手記を読んで葉蔵という名が出て初めて、ああ一応架空の人物の話ね、と理解できたが、ただやはり、これまでに見聞きした太宰像とおおむね一致するので自伝的な要素はたぶんに含まれているだろうとは思った。
 第一、二、三がそれぞれ、著者、葉蔵、著者の視点であるところがわかりづらい。作品中の作品中の作品中の……みたいな。全体の雰囲気は暗いのだが、一応手記ごとにトーンは変わっているように思う。ただ、やはりこちら側の思い込みで葉蔵と太宰がオーバーラップするのでちと最初と最後の視点が紛らわしいが、しかしアレがないとしまりが無い。一、三の語り部が割合淡白なので、太宰治という人物像、予備知識無しに読むとものすごく引き立つのかもしれない。

恥の多い人生を送ってきました。

 この言葉の深みはすごい。もっと早く読んでおけば良かったと思う反面、高校生あたりの僕には理解できなかったろうと思う。単純に格好が悪い、いけてないことが恥だ、と恥の何たるかを理解していなかったからだ。しかし、もしかしたらものすごく反駁したのかもしれない。無意識のうちにこの小説の意味を理解し、自分を鑑みて、打ちひしがれまいと、はねつけたかもしれない。

・グッド・バイ

 未完だが、面白い。太宰のポップセンスが感じられる。最終的には妻にグッド・バイされるというストーリーは出来上がっていたらしいが、あのままライトなタッチで最後まで進んでいたのか、それとも何処かで転換があったのか、気になる。

・如是我聞

 批評文。ものすごく感情的なのだが、的を射ていたり、めくらめっぽうだったり。煽動的な文…というより中傷が多いような。特に志賀直哉に対して。